「ハラグーロは嫌いじゃない」
自分もそれほど嫌いじゃないんだ。あの人が出てくるシーンを見て思うことは↑に描かれているのと大して変わらない。
でも、読んでいて、もう20年近く昔の話になるなあ、そんな昔の話、そしてそこにいたある人のことも思い出されたんだ。
そのころ、少部数でニッチ向けだけど一定の需要がある本を作ることになったんだよね。ガイドブックみたいなもの。その人の発案で。
何事にも旬ってものがあるわけで、すぐに仕事にとりかかることになった。
ただまあ、作りやすいと言っても調査したり文章書いたりレイアウト作ったりしないといけないからそれなりの作業は必要なんだけど、それを作る、って言ったいいだしっぺの人が全然仕事をしに来ない。
結局、アンケートをまとめたり、挿絵を描いたりレイアウトしたり、その辺の作業は後輩数人にほぼ丸投げ状態でね。実質動けた後輩って2人だけだったかな。結局出来上がった本のページをめくってここは誰、この部分は誰、って数えていくと、言い出しっぺの人が関わった部分はほとんど全然ない本が出来たんだよね。目に見えたのは後書きと後述の(この表題に関係がある)部分だけだったかな。
いや言い出しっぺの人が動いているところが見えなかっただけで、全く働いていない訳じゃなかったらしい。知り合いにアンケート配布とか回答とか回収をお願いしたり、出来上がった版下を印刷所に持っていったり、刷り上がった本の委託を本屋さんにお願いしたり*1。
とはいうものの、その本はめでたく完売した。最終的には少し儲かるくらいになったはずなんだけど。
良かったね、と思ってメインで作ってた例の2人に話を聞いたら、どうも様子がおかしい。
「あの人が『打ち合わせ代』と言ってお金持って行ってしまいました」
結果的にトントンになっちゃったのかな。詳しくはよくわからないけどそれほど問題にならなかったので大損はしなかったんだろう。*2
その後数年間そのネタは語り継がれたなあ、というお話。ハラグーロがコミック中で「俺は編集者みたいな仕事してるから」ってあの文章を読んだときにもあの人のことが思い出されたなそう言えば。表題のアルファベットは奥付に書かれたスタッフ一覧でその人につけられた肩書きの略称。PはプロデューサーのPだね。SはスーパーバイザーのS。それをandでつないだわけ。いや他意は全くなくて、本人がそう名乗ったのよホントに。略称はまあ仲間内での隠語。
ちなみに、その人はその後、電通に入社した。当時はみんなでコネ入社コネ入社って言ってたけど、今ならコネじゃないよな、と言えるような気がする。