「金持ち父さん」と「キャッシュフローゲーム」と「ボードゲーム会」と私。

タイトルは適当につけました。

知らない間に何か揉め事が起こっていたようで

ゲーム会の一週間後日本プロカタン連盟の例会に連れていかれる。その後平日の夜池袋で池袋のカフェでカタンをする会に誘そわれた。この会のリーダーが金持ち父さんとキャッシュフローゲームを勧められる。この後頻繁に「本を読んでね」等のメールが送られてきた。

ボードゲーム界隈にも危ない人がいますよという話し

本人もブログの先頭に書いてあるとおり、「ネット上ではよくある話」です。
昔大流行して、今でもLINE,Facebook,Twitterについで第4のシェアを誇るmixiでも、かつて日本シェア1位だったころには「キャッシュフローゲームを遊ぶゲーム会」と称したマルチ商法、マルチまがい商法、もしくはMLM(ネットワークビジネス)の勧誘活動が頻繁に見かけられました。

当時ボードゲーム会をやっていた人たちの中には「キャッシュフローゲームは遊びません」とか「何らかの勧誘を禁じます」といった断りを掲げることになった者もいました。

今もあるんでしょうかね?よくわかりませんが、第2,第3のシェアを持つSNS,TwitterFacebookで「キャッシュフローゲーム」で検索してみればその辺がわかるのかもしれません。

「金持ち父さん貧乏父さん」は何故ネットワークビジネスの勧誘に使われるのか

それにしても、なぜビジネス本であるところの「金持ち父さん貧乏父さん」がネットワークビジネスの勧誘に使われるのでしょうか? 実はそれは至極当たり前のことなのです。

件の本は「給与生活者では金持ちにはなれない。不動産や株式など、不労所得を得られる資産を得るべき」というテーマの本なのですが、その方法の一つとして「ネットワークビジネスをやってみよう」ってそのままズバリのことが書いてある。

ベストセラーで目から鱗の話が書いてあって、ついでにその方法の一つが自分が薦めたい商売と一致している。これ使わない手はないですよね。

なぜ「キャッシュフローゲーム」がネットワークビジネス勧誘の入り口なのか

キャッシュフローゲーム」は「金持ち父さん貧乏父さん」の著者が作ったボードゲームです。スゴロク形式のゲームで、現金のやりとりをサイコロを振ってコマを進めることで行いながら、金持ちを目指す。
ゲームボードは貧乏人のマス群と金持ちのマス群があって、最初は貧乏人のループしか回れない。小金を貯めて資産を作っていくことで、金持ちループに行くことを目指す、と、件の本に書かれた思想がそのままゲームになったものです。

さらに、ゲームを始める前に、勝利条件として「自分の夢」を設定する。詳しくは書かないのですが、これがある種のトークと非常に相性がいいんですよね。
そのうえ「読書会」よりも「あそびながら楽しくお金の知識が身につく」のほうが楽しそう。

これをきっかけに「不労所得が入るための努力」たるある種の商売を薦めるのにはぴったりのゲームな訳です。

ゲームでそぎ落としてしまっていること、語られないこと

「金持ち父さん貧乏父さん」が言っていることは、まあ基本的に当たり前のことです。具体的な内容を除けば「資本論」を裏返しにして焼き直したもの、と言ってもいい。
では、それをゲーム化したものはどうなのか。

教育的な価値を除いたゲーム内容としてみると、基本的にこのゲーム、サイコロの運に頼るだけのゲームですから、ボードゲーマーにこのゲームは値段相応の価値のあるものとみなされていません。そこは前提として、教育的な価値としてはどうか。

ある種の現実世界からの単純化が、なんらかの勘違いを引き起こす危険があります。
例えば、貧乏人ループでは避けられない無駄遣いが、金持ちループでは基本的に発生しません*1。金持ちは無駄遣いしないもの、という思想で作られているがゆえ、このルールは正しいとも言えますが、実際どうなのか。

このようなものをはじめ、ある意味勘違いさせたほうがありがたい単純化がいくつか入っている。これをあえて語らないことも可能。そういうゲームなわけです。

そして、揉め事へ

そんなこんなな状況下で、冒頭に挙げた記事の削除を求めたブログが出てきました。

確かに、ゲームに行ってビジネス本をすすめられるというのはよくわからない。
僕は晒されている人物が本好きなのを知っているし、別の本を薦めているところを見たこともある。
その時に僕はあくまで彼の好意として薦めているという印象を受けたが、それはあくまで僕の主観であって上記記事の彼女がどういう印象を受けたかは彼女次第であり、何を言う権利もない。

(中略)

しかしだ。
 
ここまでの彼女からの情報で、“マルチ商法の人”というレッテルを張り、個人の名前、顔、所謂個人情報をこの広いインターネットに晒す行為は、端的に言ってやりすぎじゃないか?
 
「金持ち父さん」は確かにマルチな人たちも好んではいそうだが、読んだ人間として普通に面白い本だったし、一般的に良く売れている部類のビジネス本だと言えるのは間違いない。
(もうひとつの「キャッシュフロー」についてはよく知らん。)

一般人を“マルチ商法の人”と決めつけて晒すお前のほうが危ない

まず、批判されている人の顔をアップロードしたのは件のブログではなく、ganchan sochanという方のようです(魚拓)、件のブログにもフルネームは書かれていなかったことを冒頭ブログの名誉のために申し添えておきます。

さて。

キャッシュフロー」についてはよく知らん。と書かれている時点で、この人はおそらくここでここまで語ってきた前提を知らない人で、かつ、これまでの前提から一般的なボードゲーマーが抱く

キャッシュフローゲームを薦めてくるやつは(ボドゲに関して)まともな価値観を持つボードゲーマーではない」

という認識を抱かない人なのだと思います。


そのうえ、

「また日本プロカタン連盟様や本やゲームが危険だ、という話しではなく」と言っているが、これを読んでカタン会のリーダーをしているような人物がカタン連盟と無関係と考える人間は、普通に考えていないだろう。

カタン会は自分も2回ほど行ったことがある。
上記記事を書いている筆者も行ったらしいからわかるだろうけど、数十人規模でわいわいと平和的にボードゲームをする会で、マルチ的な要素は全くない。
連盟員もまだ200〜300人位で、まあまだ小規模な団体だ。
 
そんな風が吹けば飛んでいってしまうような小さな小さな団体に、“マルチまがい”のレッテルが貼られたらどうなると思う?
潰れるだろ。
この記事のおかげで、純粋にボードゲームを楽しんで友達を誘っていた人たちまで「マルチに勧誘する怪しい団体に属している人」と多くの人に思われたわけだから。

一般人を“マルチ商法の人”と決めつけて晒すお前のほうが危ない

と、意図的な規模の拡大や場所のすり替えを行っています。

冒頭のブログで書かれた「勧誘の行われたカタン会」というのは、記述を信じれば、
「日本プロカタン連盟が主催したカタン会」ではなく、「日本プロカタン連盟が行ったカタン会の参加者が主催したカタン会」です。
1段別のところに動いてしまっています。

つまりこの場合、正直な話「カタン会を名目にキャッシュフローゲームを勧める人がいた」と言うところまでは動かしがたいことではないかと思います。

そんな勧誘をする人を公式のカタン会に入場させてしまった日本プロカタン連盟も大変だなと思いますが、さすがに参加者が直接その場でキャッシュフローゲームの宣伝をするのでもなければ、排除することも難しいでしょうね。

そんなことはともかく。

以上の点から、件の記事作成者に対して記事の即刻削除を求める。 

一般人を“マルチ商法の人”と決めつけて晒すお前のほうが危ない

という結論をきっかけに、冒頭のブログは削除されてしまいました。
そして、削除を求めたブログのほうも、今はエントリを消してしまっています。

相手がボードゲーマーだって、自衛するに越したことはない

批判していた人は「ボードゲームサークルがみんな怪しい団体に見える」という理由で元エントリの削除を求めていました。

でも、実際のところ、ネット上でもリアルでも、こういう勧誘を巡るトラブルって、よくある話でしかないのです。

オウム真理教は大学浸透のためにインドカレーの研究会を装った団体を作ったし、別の宗教は宗教団体を名乗る代わりに書籍研究と称したり何かの分野の研究会を名乗ったりする。

悲しいけど、「純粋にボードゲームを楽しんで友達を誘っていた人たち」に見える全員が無垢なわけではなく、別の目的をもって入り込む人がいてもおかしくないのです。これは、これからボードゲームを遊ぶ会に行こうという人、その他ボードゲームに限らずなにかサークルに入ろうとしている人、そして、そういう目的でなく何かのサークルを運営したい人、みんなが知っておかなければならないことなのです。

ボードゲームで遊ぼうと人を募ったところ、その中にマルチと思しき勧誘目的の方がいました。当日は和気あいあいと普段通り遊んでいたのですが、後日その中の女性が勧誘を受けて発覚しました。

前から面識はあり月並みではありますが、そのような事をする人物だとは思えずショックです。共通の知人(男性)に話を聞いても、そのようなそぶりはなく信じられないといわれました。

元々ネット上で知り合ったので、こういった目的の方が来ることもあります。彼の目的を事前に見抜けず同席した方に不安を抱かせた事と、純粋に楽しく遊べると信じていたので怒りを感じます。

ボードゲーム界隈にも危ない人がいますよという話し

だから、そういう輩には気をつけなさい、と言いたいところだけど、どういうことをする人なら危険人物なのか、のリストはなかなか作れません。ふだんそういう言動を繰り返すような人は少ないからです。

ただまあ、ゲーム会も主催するボードゲーマーである私から言えることがひとつあるのは確かです。

まともな価値観を持っているボードゲーマーなら、『キャッシュフローゲーム』を面白いゲームとしては勧めない

件の彼がマルチ商法にはまったのか、ナンパしたかっただけなのかはともかく、ボードゲームの善し悪しに関してまともな価値観をもっていないということだけは断言します。
他のあそびはともかく、ボドゲ遊ぶなら別の人と遊んだ方がいい、たぶん。

*1:その代わりに現金をなくすイベントは発生する