CCのmorePermissionsはどう使えばいいんだろうか?

ええー、昨日のエントリで、

じゃあmorePermissionsでどういう風にすればその意志を表示出来るのか、というのはそういうことを知っている人から聞けたらうれしいのだけど。

と書いたら、その元ネタを書いた半可思惟のinflorescenciaさんがエントリを起こしてくれた。それについて、補足というかなんというか、まあ思ったことを。

主な著者は2人いる。

「著者としてもCCでは細かい規定は出来ないと思っているふしがある」という該当箇所は津田さんのこの発言だと思われます

http://d.hatena.ne.jp/inflorescencia/20070921/1190314597

えーと、これ共著なので、著者は2人いる。もう1人は小寺さん。前の前のエントリを書く発端となったITmediaの記事を書いた人。その発言は例の書き起こしを使って示せば、以下の通りです。

例えばその、今ネットで全文に近い形で公開されてらっしゃる方がいるわけですけれども、(中略)ぼくらがCCでやろうとしたことが何かって言うと、(中略)無人販売所があるじゃないですか、僕ああいうビジネスモデルに近いと思うんですよね。(中略)そういう商売だと思うんですけど、何の目的もなく全文を公開するって言うこと自体はですね、僕的にはお金をいれる料金箱に10万円くらい突っ込んで小屋に火を付けることとなんかあまり変わらない気がするんですけどね。

http://d.hatena.ne.jp/shidho/20070920/p1

(前略)コンテンツに対して、出したい側が、もっと細かく、ここまでは良いけどここまでは勘弁して、みたいな権利を付加してもいいようになってきたんじゃないのかと思うんですよ。それはそのいわゆるCCみたいな形で宣言できるような方法があれば良いと思うんですよ。それがなかなか現実にはできないから、(後略)

http://d.hatena.ne.jp/shidho/20070920/p1

とまあ、実はけっこう津田さんと違う意識でいる。morePermissionsを使った表明を行うなら、こちらの意志を反映してみるのも必要なんじゃないかと。

小寺さんと津田さんのCCに対する意識の違いは最終アウトプットにある。

前のエントリに津田さんがコメントしていましたが、たぶん二人がこの本に期待するところは若干違っているような気がする、と。

例えば僕ら著者だったらもしかしたら音楽、アーティストのライブに当たるものが講演みたいなものかもしれないし、例えば考えていることとか書くものが面白いから、お前ここで企画書書いてみろよとか、ちょっとその能力を教えてくださいみたいなコンサルみたいな、そういう出口があるのかもしれないし、

http://d.hatena.ne.jp/shidho/20070920/p1

これは例示として揚げているが、ここで「出口」というのは、言い方を変えれば期待する収入源のこと。いただいたコメントと合わせ考えると、これをきっかけにして自分に対する企画が増えることを収入源として期待している、と読んでもいいのではないか。

いっぽうで小寺さんは、

津田・小寺・書籍名・翔泳社のネームバリューが上昇し、いろいろなところから講演依頼などが舞い込んでくるという状況になっている

http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0709/18/news008_2.html

と言うことはある程度認識しつつも、少なくともpodcastingの時点では

僕らが本を出して、こうやって対談したり、あるいはYOUTUBEにアップしたり、トークイベントとかやったりするのってみんな要は対価がない訳じゃないですか。基本的にはプロモーションとして無償でやってることじゃないですか。で、要はその対価を売る手段が本が売れることしかないと言うことな訳ですけど。

http://d.hatena.ne.jp/shidho/20070920/p1

本が売れることが出口、つまり収入源になると考えている。
つまりこの違いが、前述のCCに対する認識の違いにつながったのではないかな、と思ったりもする。

まあ実は、小寺さんにはCCを宣言する目的がもう一つ別にあったようなのだけど、それはあとで。

ではどんな感じで宣言すればいい?

さて、では本を売ることを出口として、CCLにmorePermissionsでどういう制限が加えられるか。いただいた例では「CCLで厳しめの条件を選んでおいて、それを適用しなくてもいい条件を列記する」と言う形、つまり条件を緩和する形での例示となったわけだけど、この場合はCCで一番厳しい条件を選んでおいて、さらに特定の条項を無効にする宣言をする必要がある。具体的には少なくとも条文の3条の一部と4条まるごとは適用できないことにしなければならない。なにせ、CCLで基本的に選べる条件で一番厳しいのが「帰属-非営利-改変禁止」なわけで、これより厳しい条件は

完全な著作権保持と完全な著作権放棄の間の中間層を埋める

http://www.creativecommons.jp/learn/

とはいえ、そのままではCCLの範疇外であるわけだから。となれば、書くならば、

この本は「帰属-非営利-改変禁止」のCCライセンスで出版しています。
ただし、このCCライセンスで認めている内容でも、以下の行為は禁止します。

  • 元の本を検証不可能な人に向けて、この文章を公開すること。
  • 元の本を単純にコピーする以外の方法で複写した文書を、他人に渡すこと。
  • 複写した文書をさらに複写したものを、他人に渡すこと。

これらが意図しているのは、

  • 本を持っていないなどで元本との比較が不可能な人が、意図的かどうかを問わず改変が入った文書を読むことを回避したい。
  • コピーはテキストの内容が変わらないことがほぼ期待出来る方法で、元の本からのみ行って頂きたい。

ということなので、単純に文面上から上記禁止事項に当てはまると思われる場合でも、個別に許可する場合がありますので著者にお問い合わせください。

とでもなるのだろうか。で、これはさっき流した「小寺さんがCCを選択することによって果たしたい目的」であるところの、
ライセンスを適切に選択することで、DRMを設定せずとも利用者に孫コピーの自粛を促す
に合致するとは思うんだが、さっきも言ったとおりでこれは既にCCLが元々カバーする範疇の外にあるし、法的な文章の方はmorePermissionsでは上書きされていないので、さてこれで役に立つのかどうかはわからないなあ。

あと、そういうことでCCとCCLは分けられるのかもしれないし、分けて考えるべき、という意見は理解したけど、CCライセンスを宣言した非CCコンテンツというのは存在するべきなのかなあ、と思うとちょっと受け入れがたい気はする。