ここ10年くらい、私の個人的なお土産として「そこの土地の米を買って帰る」が趣味みたいなものになっています。
まあ「そこの土地」と言っても日本で出かけた先で買うことはほとんどなくて、海外。でもってそれが一番実感できるのがタイなので、過去にそれをやったのはタイだけなのですけれどね。
1999年に米の輸入自由化がされまして、さらに個人輸入については、年間100kgまでは届け出すれば関税も無料、という措置が取られています。
年に数回海外旅行な大抵の人にとって、100kgというのは無限な量ですよね。年間の区切りは私もよくわかっていないのですが、とりあえず「帰ってきた日から過去1年間」で私は動いています。まあどう区切っても1年で100kg超えることはないので*1。
2010年代前半までは検疫も簡単でした。日本に帰ってきたら、預け荷物を受け取って、税関のチェックの手前にある植物検疫のカウンターに寄ってサンプルを提出するだけでした。その時に年間輸入量の申告もして。サンプル提出も簡単です。袋に小さい穴をそこで開けて、そこからひと掬い米を渡すだけ。作業そのものは検疫スタッフがやってくれますので見ているだけです。
ところが、これが2010年代後半に難しくなります。作業がこれだけで終わらなくなったのです。具体的には2018年以降。植物検疫が厳しくなりました。
植物はほぼ全て事前の検疫証明書の発行が必要になったのですね。精米は「種子」に分類されるようで、これも買った土地の検疫証明書がないと持ち込めなくなりました。
実は私これを知らずに植物検疫にのこのこ米を持ち込んで没収されたことがあります。
その時以来、「米を無事に持ち帰る」がある種の目標になりました。
今回(2023/12)のタイ旅行でそれを達成したので、やり方の備忘録をここに書いておきます。失敗した部分は過去の日記に書いてあるので、こちらはなるべく簡単にいけるようそのへんは省きますね。
まず米を買う。
何にせよ、これをやらないと始まりません。今回はサイアム・パラゴンの1F(GF)にあるスーパーマーケット、グルメマーケットで一番高いタイ米を購入しました。いや、実はこれより高いタイ米も売っているんですが、色がついていたりして微妙に欲しいものじゃなかったので、正確には「タイ米に見える米の中で一番高いやつ」です。今回は2kgで100バーツくらいだったかな。1バーツ5円*2で計算してもらうとどれだけ高級なタイ米かわかると思います。
BTSに乗って北に向かう。
植物検疫カウンターは2ヶ所把握しています。1つはスワンナプーム国際空港の貨物セクションにあるS1ビル。これ探すのすごく難しいですけれど、探せば探したで、観光客が行くのをちょっと諦めたくなる場所にあります。もう1つがカセサート大学にあります。ちなみに「カセサート」って、どうも「農業」に近い意味のタイ語らしいですね。
で、カセサート大学は現在ではBTSスクンビット線で向かえる場所にあります。実際に「カセサート大学前」って駅があるので探してみてください。サイアム駅からずっと北の方向にあります。
問題は、カセサート大学、すごく広いんです。正直、大学と街の境目も少々曖昧です。まあ海外の大学だしそういうこともあるかなと思います。ちなみに今回行きたい検疫カウンターですが、カセサート大学駅ではなく、その次の駅「Royal Forest Department」で降りたほうが近いです。
駅は道路の上にありますので、降りたらどちらかと言えば西側の側の道路に降りてください。で、南に歩いたらダメです。まあそっち言っても適当に歩いていればたどり着けるかもしれないけれど(後述)、もっと近い道があります。
バス停に向かう。
ちょうど駅の真下くらいに、西の方に行く路地があります。
この路地です。
この路地を道なりに進んでいって(少し右に曲がって)、
ちょっとした交差点で左に曲がってください。
で、曲がったらもう目的地は直ぐ側です。
少し歩くとまた左右に道が広がる交差点がありますので、そこで右を見てください。
セブンイレブンの看板が見えるはずです。
そこが仮の目的地です。
たかだか5分程度の道のりですが、これが怖いという方は駅を少し南下して、パホンヨーティン通りソイ45、通称ソイ・カセサートに行ってください。
ストリートビューで見る限り、そこにはバイクタクシーがいるので、「セブンイレブン」*3って言えばここまで連れてってくれると思います。たぶん料金は10バーツから20バーツくらい。
シャトルバスに乗る
で、ここが仮の目的地というのは、ここでバスに乗るんですね。
セブンイレブンの向かいには実はシャトルバスのバス停があるんです。
こちらにそのバスルートの一覧があります。
KU-Transportation at Kasetsart University
2024年10月現在もそのバス存在します。ルートは5番。
このE25番バス停が今回のバス停です。先ほどの写真はE24のバス停が写っているので、E25は廃止されたかもしれませんが、どちらにせよこの辺です。
で、バスが来たら乗ります。
ここ終点なので、他の誰かが乗るのを見て乗ったほうがいいかもしれないですね。まあたぶん大丈夫だけど。
で、この地図で言うところのE18番で降ります。実はちょっと行き過ぎているのですが、ここがPhytosanitary Serviceの最寄りバス停なんです。
バスが通ってきた方向に少し歩いて戻ります。で、
https://maps.app.goo.gl/PFnbEfuKEQi9KQRz7
ここに向かいます。
この建物が、目的地です。ちなみにこのバス、部外者が利用しても料金は無料です。
検疫のお願いをする。
さて、建物に入ってみます。で、そこにいる人に「米の検疫をお願いしたいのですが」と適当に英語で話してください。大丈夫、ここにいるのは大学出のエリートばかりなのであなたより英語ができる人ばかりです。「Would you please」に「コメ」と「検疫証明書」にあたる英語*4をつなげれば通じます。パスポートと米の実物はすぐに取り出せるようにしてください。これらは必須です。
あ、言うのを忘れていました。ここはもちろんお役所です。朝は8時からやってますが15時には閉まるらしいです。土日が休みですし、タイの祝日も休みですし、年末年始に休みもあります。たぶんソンクラーンでも休むんじゃないかな? これはこの役所のおもてに掲示してあるのですけど、タイ語です。
そういえば、検疫証明書ってพ.ก.7って言う書類らしいのです。あなたがタイ語が読めるならこれをタイ語で言ったらもっとスムースに相手してもらえるかもしれません。
で、これが今後どうなるかはわからないのですけれど、ここにはいまもう、書類を書く場所がないんです。実は検疫申請はデジタル化しています。
今回は私は便宜を図ってもらって、申請サイトのアカウント作成と電子申請を代わりにやってもらえました。今後そこは自力でやらないといけなくなるかもしれないので、その申請サイトをここに貼り付けておきますね。
เข้าสู่ระบบ
一応左に「English」への切り替えがあります。このサイトへのログインはNSW National Single WindowというシステムでIDを作ってそのIDでログインするみたいなんですね。
ระบบบูรณาการและปรับปรับประสิทธิภาพเชื่อมโยงข้อมูลแบบอิเล็กทรอนิกส์ของใบรับรองใบอนุญาตนำเข้า ส่งออก นำผ่านพืชผลิตผลพืชและปัจจัยการผลิตทางการเกษตรผ่านระบบ National Single Window : NSW
ここで適当にIDを作ってログインしてください。あ、適当にって言ったけど、役所への提出書類の元になるので嘘を書いちゃダメですよ。特にパスポート番号。このサイトのログインIDはパスポート番号なんですよ。それから私は「entrepreneur」(アントレプレナー)なんだそうです。登録の時にどれ選ぶか迷ったらそれ選択すると無難かと思います。
とはいえ、このエントリを書くために自分のプロフィール確認したら、性別が間違っていました。そこはタイ政府はあまり気にしないようです。
作ってもらうときには、たぶん住所の記入とかそういうのが必要になると思いますのでそこはPCに向かって適宜記入してください。あなたが申請書を書くときにはコメの商品名と植物名(学名)が気になるかもしれませんね。
今回の証明書を見返したら、商品名は「FRAGRANT RICE」、植物名は「ORYZA SATIVA」でした。なるほどね。なお、運び場所は今回関西国際空港だったのでOSAKAになっています。
申請書類が出来たら、これを提出して役所の外で待ちます。
私の場合、たどり着いてから帰るまでに1時間20分くらいだったので、まあ1時間もあれば結果が出るでしょう。料金は100バーツくらいです。求められた時に現金で支払ってください。
ただ、やっぱり朝イチで申請したほうがいいらしい、とは噂で聞きます。9時くらいまでにはたどり着いておいたほうがよさそうですね。
どうやって帰る?
私はこのあと、遅い朝食を食べました。E18番停留所の道路向かい、E17番停留所の奥あたりには学食があって安くタイご飯が食べられます。その17番停留所には先ほどの5番バスの帰り便が来るのでそれに乗ってもいいし、E18番停留所には3番バスも通ります。このバスはBTSカセサート大学駅に向かいますのでこれで帰ってもいいですね。
(来る時にカセサート大学駅からの3番バスをお勧めしなかったのは、これ環状バスの一方向だけの運行で、E18番バス停に着くのが遠いからです。のんびり来れる人はこれで行くのが実は一番カンタンかもしれません。)
ちなみに、BTS料金ですが、バンコク市内から来るならカセサート大学駅で降りてもRoyal Forest Department駅で降りても料金は同じです。たぶん2023年12月で片道62バーツくらい。100バーツの米の検疫のために検疫料金と交通費で合計3倍くらいの金額になる計算になりますね。もう趣味の世界です。
さて、あとは国内に持ち帰り。
検疫証明書は日本に米を持ち帰る時に必要になるので、大事にしまっておきます。控えはいくらでもあとでダウンロードできますけれど(公式じゃない)の透かし入りでしかダウンロードできないですからね。
日本に帰ってきたら、税関を通る前に植物検疫に向かいます。預けておいた、もしくは機内持ち込みした荷物のなかから米を出して、検疫証明書も出します。あとは「年間持ち込み量の誓約書」を書いて、それでおしまいです。
別にコメ不足だから買い出しで買って帰る、というわけにはいかないと思いますが、もしコメをタイから持ち帰りたい人がいたら、参考になれば幸いです。