放送禁止用語集、ねえ。

自分が、はてブで[要確認]タグをつけている場合、それは「信憑性に難がある」という意味でつけている場合がほとんどだ*1。で、最近つけたもののうちで、なんでここまでブクマ数が、というのが、放送禁止用語集というやつ。

今見たら、400件以上のブクマがついてる。その割にコメント数はそれほど多くないんだけど。

で、これについてはけっこう疑問があるわけで。
ブクマコメントにも書いたように、世の中にメディア横断型の「放送禁止用語集」なんてものは存在しないから、もしこういう用語集を作るなら、どこがそれを放送禁止にしたのかを明らかにしておかないといけない。

たとえば、「将棋倒し」がこの用語集に入っているのは、2001年に将棋連盟が使用を自粛するよう申し入れたからだ。じゃあその申し入れに各メディアは応じたのか?というとさてどうだか。

同じ言葉でも、バラエティ文脈と報道文脈では使用の範囲はけっこう異なる。
10年近く前に、柿の特集をやったとき、そのVTRの受けで女子アナウンサーが「私柿嫌いなんですよね」なんて話をしたときは反省会でものすごく怒られた、なんてこともあった。好き嫌い、特に嫌いな話は影響が大きすぎるから慎重にしなさいと。
でも、これをすべての番組に当てはめたら、少なくとも「食わず嫌い王選手権」はオンエアできない。そういう話になる。

あと、たとえば「日本一」とか「必ず治る」とかはある文脈では使用禁止のNGワードになっている。でも、どこの文脈でも使ってはいけない言葉ではない。使っていけないのはCM(と、一部の番組)だけ。さらに、小さくてもいいから根拠を示せばOKがでる場合もある。

繰り返すようだが、この「対象」と「文脈」と「場面」が明らかになっていないところで、放送禁止と称する用語をいくら並べてもそれは資料として役に立たない。

トラックバック先にもあるが、たぶんいくつか(もしかしたらほとんど?)の言葉は朝日新聞の用語の手引き*2か、共同通信社の記者ハンドブック*3あたりからもってこられたものじゃないかと思う。

なんとなく業界専用っぽい響きがあるし、こういうのを作るほどの余裕がないところはとりあえず文章の書き方として推薦しちゃったりもするのでそう思えてしまいがちだが、これは別に放送禁止用語集じゃない。確かに使用に注意しなければいけない言葉は書かれているが、それは朝日新聞だったり共同通信だったりの基準に過ぎないわけだから。両方とも、放送を専業にしてる会社じゃないのは言わずもがな。

放送禁止歌*4という本があるけど、この辺の話はその本にも書いてあるので、興味があるなら一度読んでおいた方がいいと思う。

追記

手元にあった「朝日新聞の用語の手引き」が見つかったので確認したが、別にいわゆる放送禁止用語的「使用を注意する言葉」の一覧はなかった。
「生粋のアメリカ人」なんて表現は使わないようにね、なんてのはあったけど、これも別に人種差別的理由からじゃなかったしなあ。

*1:そうでないものもある

*2:asin:4022289139

*3:asin:4764105489

*4:asin:4334782256