สนามหลวง(王宮前広場)はお祭り会場だった。

10月下旬にタイに行ってきていました。それについてはそのうち書こうと思います。というかその話を書いていたらいつまでたっても表題の話につながらないので。

いつの話?

王宮前広場に行ったのは、10月の29日、30日です。その前にいたチェンマイのホステルのオーナーでもあるタイ人から「なんだかんだあって今はいろんなイベントを自粛しているけれども、王宮では人数を区切ってお参りが出来るみたいだから行ってみたらどうかな」と言われたのですね。確かにこれを逃したら行けないイベントではあります。

とは言え、まあそこまでしっかり考えずに向かったら、とんでもないことになりました。

どうやって行った?

10月29日は、フアチャン桟橋からボートに乗ってパンファー桟橋まで行きました。フアチャン(หัวช้าง)桟橋はBTSで言うとサイアム駅とラチャテウィー駅の途中にあってたぶん一般の旅行者なら1番めか2番めに利用しやすいボート駅です。ここから西に向かってボートに乗ると終点まで1駅か2駅。こっち方向はどこまで乗っても同一料金です。そうすると終点がパンファー(ผ่านฟ้า)桟橋。ワット・サケットという小山のお寺を見に行くのにはなかなかいい位置にある駅なのです。この近辺に昼には閉まってしまうカオマンガイの店とか、土日にしか営業していないお粥屋さんとかを巡るのが当初の目的でした。それからチャオプラヤー川に行ってソンテウにでも乗って水上マーケットにでも行こうと思っていたのです、当初は。

途中で通行規制がどんどん増えていく。

パンファーまで行くとまあほぼバンコクの旧市街です。一方通行が増えていきます。そんななかバンコク庁舎で記帳したりしながら王宮方向に向かっていくと、だんだん通行規制が増えていくんですね。とは言え通行規制は自家用車だけで、バイクとか、まして歩行者は規制されません。なのであまり気にせず歩いていましたが、とある歩行者橋で「此処から先は検問で通れないようにしているから、先に行くなら別の橋を渡れ」と書かれているんですね。

検問なんだけど、検問じゃないテントがいっぱい張ってある。

検問そのものはタイでは珍しい存在ではありません。名だたるデパートのほとんどには入口にガードマンと金属探知機のゲートがあります。BTSは大丈夫ですが、MRTもやはり入り口に同じようなものがあります。同じような検問が王宮そばに入るところにあったわけです。別にパスポートとかIDカードの掲示とか求められません。先月はじめには月末のテロとかが警戒されていましたからその一環もあるのかもしれません。

入るとまたテントがいっぱいあります。保健省の健康チェックとか書いてあります。まあご老人の方とかも来るのでそういう対策かなと思ったらそれだけじゃなかった。

うちわ配ってます。黒い絵に白一色のシンプルなうちわ。お悔やみにはちょうどいい感じです。
おしぼり配ってます。ちゃっちい薄い生地ですがちゃんとタオル地のやつ。
ヤードン配ってます。鼻に突っ込んで吸うとスースーするやつですね。
ミネラルウォーター配ってます。いや、別にミネラルウォーターじゃなくて飲水ですね。でもコンビニでは10バーツくらいするやつです。
シンプルな白いアイスクリーム、たぶんタイなのでココナツアイスだと思いますが、それがコーンに盛り付けられて配れています。

もうね、暑さ対策グッズがこれでもかと配られているのです。

いえ、暑さ対策グッズだけではありません。陸軍省だったかな、兵隊さんのところには食べ物屋台も出ています。日本のお振る舞いでも豚汁いれて配るような発泡スチロールのおわんにガパオライスが盛り付けられて配られてますし、その向かいにはピザを作ってるフードトラックが止まっています。袋にもち米と挙げた豚肉を入れたお弁当は私ももらいました。おなかいっぱいでなかなか食べられなかったのがあれですが。

歩いているタイ人はほぼ全員が上下黒の服装です。上だけ黒の人はこの1週間あちこちで見てきましたが、上下黒なのは本当にこの界隈だけでした。みんなお悔やみのために、服装整えてきているのですね。
その割には遺影の横で自撮りかましたり、自撮りも普通の顔バージョンとサングラスバージョンの2種類を撮っていたりという撮り方です。
あちこち座り込んでいるタイ人もいっぱいいます。ただしみな日陰です。みんな涼しい場所はなんとなくわかっているのですね。

ワット・プラケオの前に来ましたら、違和感の正体がわかりました。
この近辺は交通の要所でもあるので、いつもは車がたくさん走っているのです。それが全くない。その代わりにシャトルバスを走らせているけれども本数が少ないので完全に歩行者天国状態です。
午前中で気温はそこまで高くないけど炎天下なので人はそれほど歩いていません。じゃあどこにいるかというと王宮前広場なのです。

王宮前広場はすごい行列だった。

入ると無料電話と無料Wifiの告知が貼られています。はい、ここでも無料なのです。
飲み物は水だけではなく何かのジュースとかお茶っぽいものとかコーヒーっぽいものも増えました。ストロー付きです。なんだかわからないけど植物も配れています。FacebookのURLをもったおじさんがいます。
どこで配ったものかはわかりませんが、亡くなった国王の肖像画を持った人がたくさん歩いています。
これが王宮前の外周。その1段内側には行列があるのです。

この行列がたぶん、例のお悔やみ場所につづいているのでしょう。とりあえず行列の最後尾に着くために歩いてみるのですが、行列が途切れないのです。
途中に救護室っぽいものがいっぱいありました。配っているものは少しずつ種類を変えて似たようなものがたくさん配れています。飲み水ボトルは一度断ったら「こっちのほうが冷えてるから交換してあげる」って言われて交換してもらいました。確かにそのほうがありがたいです。

で、もうすぐ半周、というところで気が付きました。この行列全く動いていません。それだけの量なんです。
そこに上半身黒Tシャツとはいえ、下半身は白のチノパンの人間が並んでもあれだな、と思いました。で、王宮前広場を離れて王宮の方にいると、たくさんの人がいます。道路端に座っています。これはタイに来る前のニュースでも見ました。誰が来るのかはわかりませんが、誰かが専用車でここに来るのです。それが来るのを待っているのです。

そんななかでもうちわを、アイスクリームを、飲水を配っている人がいます。歌と踊りがないだけでもうほとんどお祭りなんです。そんなことを言っている間にヤクルトを1本もらいました。王宮そばの大学の壁には生前の王様の活躍が描かれた壁画があって、そこでタイ人が記念撮影をしています。一旦出ると外では王様の写真が1枚10バーツ、5枚買うと1枚おまけで売られています。私もなんか2枚買いました。

いや、大変だな、と。これが1日め、29日の出来事です。

王宮前広場に来るのも、無料、無料だった。

29日はほとんど歩いて王宮前広場に行ったようなものでした、そこから離れるのもチャオプラヤーエクスプレスボートとか使ってますので、移動手段にはそれなりにお金を使っています。ちょっと気になったのは「青旗ボートを半額割引で運行しますよ」という告知くらい。まああれだけ混んでいるわけですから、ボートの割引くらいはあるだろうな、と思ったのです。

30日は別の水上マーケット(ワット・ドンワイ水上マーケット)に行くつもりでした。これはgoogle mapで調べるとマッカサン駅前からバスが出ていますが、実際はそんな運行はなされていない。王宮前広場の北側で折り返し運転しているらしいのです。なのでそこまでは別のバスで行く必要があります。

さてどのバスで行くかな、と思ったらそこで来たのが「王宮前広場まで無料」バスでした。そうなんです。昨日無料で配っていたのは飲み食いするものばかりではない、移動手段まで無料なのですね。
それだけでは足りないのか、バンコク各地のバスターミナルなど交通の要所はシャトルバスが走っています。南バスターミナルから北バスターミナルから東バスターミナル、戦勝記念塔、そのほか聞いたことのないバス停までいろいろ走っています。

バスを降りたらまた無料です。飲水もらって、お弁当もらって、今度はポスター写真ももらいました。ポスターの行列はあまりに並びすぎて検問と勘違いされて「ポスター要らなかったら横通って先に勧めますよ」みたいな案内までされていました。飲水やお弁当はともかくポスターはほしかったので並んでいたら目的の556番バスに乗り逃して、次のバスまで30分以上待つことになりますがまあそれはそれです。

ええ、バス停は臨時のバス停が4箇所に分散されているのです。もともと王宮前広場周辺が、この近辺のバスの集散場所にもなっていますから、それらのバスの移動先やらシャトルバスの位置などが掲示されていて、さらにそれらが来るときに案内する人がいる。それでもまあ大混乱な感じのバス停周りでした。さらにバス停周りには先ほど言ったような無料配布の屋台が立ってますが、さらにでかい壁掛けの絵とかペンダントを売っている人もいます。そういえば昨日船着き場のそばにはリボンを模したバッジとか売っている人もいました。

ちなみにシャトルバス、普通のバスから観光バスっぽいもの、さらにミニバンまでありました。本当にシャトルバスなのかはわかりませんが、サービスでタダで乗れます、って書いてあるんで少なくとも無料なのは確かで、見た中で一番遠くから来ているのはパタヤからでした。

みんながみんな王宮前広場に集まっているわけではない。

それと、これは書いておいたほうがいいでしょうね。そこまでみんなが弔意を示すために無料の手段で集まったら他の場所はどうなっているのかと。
そこから40分ほどでたどり着いた、ワット・ドンワイ水上マーケットはそこそこ混んでました。タイの観光地あるあるで、駐車場に入るための渋滞が発生していました。

やっぱりそこは、いろいろいるんだろうなとは思いますね。ただ、そこにいるタイ人もほとんどが黒服でしたが。

(なお、写真は後ほど追加します)