ベトナム(とかタイとか)で働くために必要なもの

忙しくなればなるほどブログを更新したくなるのって、あるあるではあるけれど何かの病気ですよね、たぶん。
そういう自虐はともかくとして、ちょっと気になったのが「ベトナムで働きたい - elm200 のノマドで行こう!」という記事。

ベトナムで、給料は安くても良いので、それほど難しくない仕事で、半年間くらいアルバイト的に働けたら理想なのだが・・・。

ベトナムで働きたい - elm200 のノマドで行こう!

個人的には「それほど難しくない仕事」というのはあまりにも漠然としているなあ、と思うのですが、同じようなことを常々思っている人はたぶんたくさんいるだろうなあ、と思ってエントリ起こししてみます。
たぶん、id:elm200氏はこれからここに書くことなど当然のように知っているはずなので、彼向きの話ではありません。もし知らなければベトナムとか言ってないでとりあえず日本でコンビニバイトしてろ。

外国人が途上国で必要とされる理由

東南アジアにはまる人、けっこういますよね。私もタイが大好きな口です。できればどうにかして長期滞在したい。
東南アジアいいですよね。暑いけど凍えるほど寒くないし、物価は安いし、飯は安くてうまいし、面白いものがいっぱいあるし、世界中から人が集まってきていて活気があるし。

でもそれは、自分が観光で見ているから楽しく見えるものというのがいっぱいあるわけです。
食べ物は安いけど、電化製品は輸入関税がかかるから日本より高くて品揃えが悪い。食べ物は安いけど、給料だって安い。面白いものは自分の常識から外れているから面白いわけで、自分がその常識になれていく必要がある。

そして、タイが世界中から人を集めていると言っても、ほとんどは観光目的での人たちです。観光立国としてやっていくためには、観光目的の人をもてなして、お金を使ってもらわなければならない。一言で言えば「金づるとしての外国人」が欲しいわけです。

もちろん、発展のために必要なのは金だけではない。今その国にない技術が必要とされることもある。「発展の立役者としての外国人」が欲しい面もあります。逆に言えば、自分がその国に滞在してお金を稼ぐためにはその道しかないとも言えます。

外国人が、途上国でお金を稼ぐには

直前に書きましたが、途上国は基本的に「発展の立役者としての外国人」は居てもいいと思っている。「居てもいい」というのがポイントで、だからビザ(査証)には大きく分けて(金を使うための)観光ビザと(金を稼ぐための)就労ビザに別れている*1。つまり、就労ビザに求められるのは「日本人にしかない技術、才能」といったやつなわけです。

というか、正確にはタイでもベトナムでも、就労ビザを取っただけでは現地で働けるわけではなく、その上で労働許可証を取らないといけないんですが、その条件の中に、「現地人では出来ない技術を持っていること」ということが普通に書いてあるからなんです。

以下の39業種については、その地域を問わず、外国人が商行為または収入を目的として就労することをタイの法律で禁じられている。

1.肉体労働、2.農業・畜産業・林業・漁業への従事。ただし、特殊技能業種、農業管理、海洋漁業船舶における単純肉体労働を除く、3.レンガ職人、大工その他の関連建設業者、4.木彫品製造、5.自動車などの運転や運搬具の操縦。ただし、国際線のパイロットを除く、6.店員、7.競売業、8.会計業としての監査役務の提供。ただし、臨時的な内部監査を除く、9.貴石類の切削や研磨、10.理容師、美容師、11.織物製造、12.アシ、藤、麻、竹を原料とするマットやその他の製品の製造、13.手すき紙製造、14.漆器製造、15.タイ特産楽器製造、16.黒象眼細工、17.金・銀その他の貴金属製品の製造、18.石工、19.タイ特産玩具の製造、20.マットレス、上掛け毛布類の製造、21.托鉢用鉢の製造、22.絹手工芸品の製造、23.仏像製造、24.ナイフ製造、25.紙製・布製の傘製造、26.靴製造、27.帽子製造、28.仲介業、代理店業。ただし、国際貿易業務を除く、29.建設、木工に関し、企画、計算、組織、分析、計画、検査、監督助言をする業務。ただし、特殊技能を必要とする業務を除く、30.建設業における設計、図面引き、コスト計算、助言をする業務、31.服仕立業、32.陶磁器類の製造、33.手巻きタバコ、34.観光案内人および観光案内業、35.行商・露店業、36.タイ字のタイプ、37.絹を手で紡ぐ業務、38.事務員、秘書、39.法律・訴訟に関する業務。

タイ>外国人就業規制・在留許可、現地人の雇用

手に職系とガテン系、国内向け商売はことごとく禁止されてますね。さらに、事務員、秘書や法律関連業務まで禁止されてる。
例えば行政書士、日本で持っていても当然タイで使えるものではないのですが、そもそも使おうとすることも出来ないわけです。

さらに、ここでは引用しませんが、タイでは外国人を雇用するのにも制限がある。会社にある程度の売り上げや資本が必要で、さらにその人の最低収入を保証しなければいけない。つまり、タイだと「給料は少なくてもいいから……」っていう条件自体がありえないことになります。*2

ちなみに、ベトナムの場合も同じです。

ベトナム人では就業不可能な専門職や日本人を雇用する必要性のある場合が対象。雇用主はベトナムの新聞に求人広告を出し、ベトナム人該当者が見つからないことを証明する必要があります。

ベトナム移住情報・査証編

新聞広告を出して探さないといけない。

じゃあ、どのようにして働くのか。

そうは言っても、不法滞在以外の方法で途上国で働いている人、けっこういますよね。そういう人はどういう職に就いているのか。
タイだと、海外貿易系の仕事の場合、条件がぐっと緩くなる。タイのものを日本に売る仕事をしている人、確かに多いですね。旅行代理店の場合は、経営者がほとんどです。確かにガイドそのものは許可されていないけど、タイ人の雇用には貢献できる。「日本食レストランの板前」はかつてたくさんいました。今はどうなんだろうなあ。「日本語教師」これもそれなりにいた。

「日本語しかしゃべれないけど日本語能力を活かしたい」これは今でもあります。コールセンター業務。オフショアでどうのこうの、というやつですね。給料安いです。例の「給料は少なくても……」の前者にはあてはまります。たぶんここで例の裏技を使っているのだと思います。

ベトナムでは、認定NGOの職員はワークパーミット免除されます。これ系に入るのも手だと思うんですが、どうやって採用試験を探すか、というのがたぶんいちばんの難関でしょうね。

ちなみに、これ今回の話にあまり関係ないのでおおざっぱに書きますと、タイもベトナムも新卒採用の際は大学の学位が重要だそうで、その学位と異なる職種に就くのはけっこう面倒みたいです。これまでの職務経歴が求められるとか、いないとか。

あとあれだよね、現地の人と結婚して一緒に起業とかたぶん一番楽だけどそれは選択肢から外れるよね?(結婚そのものの難易度はともかくとして)

結論

「楽して現地で働く方法はそうそう見つからない。あったら俺が先にやってるよ」

お粗末でした。

*1:就学ビザ、留学ビザはどちらかというと観光ビザに含まれると思っています

*2:ただし、これには穴があるそうでして、法律にある最低収入未満の給与支払いでもいける方法があるのだそうですが……。