ブログを書かないぶん、twitterだのfacebookだのをやってるのかと思いきやそちらもほとんどやってないという、アウトプットが減った日々を過ごしております。
さて、宇都宮“ギョーザ日本一”奪還ならずだそうで。
個人的に宇都宮にも浜松にも思い入れがないのですが、ブクマコメントに興味深いものがあったので、それをきっかけに「家計調査」と「餃子日本一」について考えてみようかと思います。うまくしたら宇都宮が再び消費量日本一になれるかも。
「日本一」って、どこの日本一なのか?
いわゆる「消費量」と言われているものは、総務省統計局による「家計調査」の結果を基にしています。方法は標本調査。家計調査なので分類対象は住所のある市町村単位ですね。
調査そのものは全国で行われていますが、結果が毎年市町村単位で出るのは県庁所在地とそれ以外の政令指定都市*1のみとなります。
県民性ネタでよく使われるこのネタですが、さてこれを県民性の話としていいのか、という点、そして餃子に限っては争われはじめたのがここ5年、という点で調査対象については留意しておきたいところです。
「日本一」って、どれの日本一なのか。
さて、家計調査は標本調査で、学生の単身世帯や外国人世帯、下宿屋さんや飲食店、賄い付きの同居人つき世帯など、家計調査が難しかったり統計になじまなかったりする世帯を除外した中から調査されます。
調査されるのは、収入と支出。さらに、支出の一部については買ったものの重量まで。
よく言われる「消費量」というのは、この重量を意味することが多いようで、たまに「購入金額」(消費額)が取り上げられることもあるようです。例えば、盛岡は「豆腐消費量日本一」の市としていろいろと取り上げられますが、「豆腐購入金額日本一」の那覇とコラボイベントとかやったりしてます。
もちろん、重さを量る対象は自宅に持ち帰る食品のみです。消費調査なので外食も当然調査の対象になりますが、こちらは「購入金額」でのみの調査となりますね。
「日本一」って、どこまで日本一なのか。
家計調査の品目は、あるていどまとめられます。野菜はけっこう種類ごとに分かれますが、そば、うどんは「生」か「乾麺」かだけで分類され、そばの購入量が多いのかうどんの購入量が多いのかはあまり区別されません。
盛岡は「中華めん」の消費量日本一、ということがちょっとした謎として知られていますが、「中華めん」の分類には「韓国めん」が含まれていますので、私は、「盛岡冷麺」*2が「韓国めん」として扱われていることが主因だ、とする説をとります。
持ち帰りの餃子は単体で「餃子」として扱われていて、これは生も焼かれたものもまとめて扱われます。外食の餃子は「中華食」ということで、八宝菜やチャーハン、飲茶などの支出とまとめて扱われます。中華食でもラーメンだけは別途の扱いとなります。
「日本一」って、どの程度日本一なのか。
こうしてみると、家計調査というものはけっこう調査対象世帯にとっては面倒なものです。実際の調査の際には各家庭に電卓とはかりを提供して、かつお礼金も(たいした金額ではないですが)払ってお願いしているようです。だいたい全体の8割から8割5分くらいは捕捉できるようにという目標でやっているらしいので、子供のお小遣いで買ったものなど、調査票を書いている人が面倒だと思ったものは捕捉されない可能性があります。標本調査と言うことを加えて考えると、特にレシートのでない金額の小さいものについては、ある程度の誤差は折り込んで考えた方がいいとも言えます。とはいえ、持ち帰り餃子についてはそういったものには含まれないような気もします。
餃子についてまとめてみる
それでは、これらを餃子を念頭におきつつまとめてみましょう。
- 消費量は、都道府県庁所在地と政令指定都市を対象にランキングされる。
- 消費量は、地元の人間が持ち帰りで買った重量でランキングされる。
- 消費量でなく、消費金額でもランキングされている。
- 外食餃子の消費金額は「中華食」としてラーメン以外のものをまとめてランキングされる。
- 調査対象世帯によっておそらく捕捉率は少しずつ違う。
まず、宇都宮にとっては、浜松という都市が対象に含まれたことでこのような話が発生したことがわかります。ただ、競う相手が出来た、ということでもありますね。
宇都宮の餃子は持ち帰りのおみやげとして有名ですが、これがいくら売れても地元の消費量としてはカウントされません。地元の人が持ち帰って食べることが消費量ランキングとしては重要になります。もしくは、親戚へのお土産は、こと餃子に限っては「買ってもらうのではなく買って渡す」という習慣とする方法も使えるかもしれません。
ちなみに、消費量が減ったことを震災の影響にする向きがあるようですが、別に風評被害とかで観光客が減ったからでなくて、ガソリンなど物流が滞って餃子の生産量そのものが減ったから、というのが宇都宮市による「震災の影響」の見解ですので、そこは見誤らないようにしなければいけません。
家で餃子をイチから作るのもいいですが、そうすると購入量がキャベツなどの野菜や肉でカウントされてしまうので、餃子は家で作らず店のものを買って帰るのがいいでしょう。
「餃子は店で食べるもの。持ち帰るものではない」という意識が強いのであれば、「中華食」1位も狙っていく手があるかもしれません。
どこまで餃子に思い入れがあるかはわかりませんが、個々のお店が単価を上げ、それに地元民がついてこられるなら、購入金額で1位になれる可能性もあります。消費量が減るかもしれない諸刃の刃ですので、地元割引などで単価を下げて購入量を増やす手もあるかもしれません。
さらに、宇都宮市民は旅行に行った際も食事は餃子を食べ、自宅へのお土産は餃子を買って帰りましょう。
そして、家計の捕捉率を上げましょう。お父さんがお土産で買ってきた餃子、帰りの晩酌で食べてきた餃子、子供が買い食いした餃子などきちんと把握。捕捉率の目標のことを考えれば、1割程度の差はこれで埋まるかもしれません。*3
大事なことなのでなんども書きますが「消費量日本一は売上げ量日本一ではない」ということはこの類の話が出るときにはきちんと念頭に置かなければなりません。なので、
この数値てスーパーの売上だかで、専門店の売上は含まれないとかなんとかじゃなかったっけ。だから宇都宮は専門店が充実してるんだからそれでいいじゃん。
http://b.hatena.ne.jp/setagayatagayase/20130201#bookmark-130857814
お店での飲食代金、専門店からのお持ち帰り、冷凍の通販なども含めてもらわないと話にならない。女子高生が下校途中に友達と立ちよる「正嗣」の売り上げをなぜカウントしないのか!?国と浜松市の癒着を疑う。
http://b.hatena.ne.jp/camellow/20130201#bookmark-130857814
の2人には、「対象は宇都宮市民」「専門店も集計対象」「お店の飲食代金は別項目で集計されている」という点をもって今後も励んで頂きたいと思います。