20年前のボードゲームかいわいを語る

このあいだ曙橋のゲームカフェに行ったとき「昔はどんなボードゲームやってたんですか」と聞かれてちょっとだけ答えた内容を、少しふくらませて書こうと思う。

20年前、つまり1990年代。

20年前、そのころボードゲームと言えばせいぜい"モノポリー"で、カードゲームといえば"モンスターメーカー"だった、自分にとっては。

「快楽モノポリー倶楽部」というモノポリー専門書が出ていたのも約20年前。その中には「ゲーム名人戦」という深夜TVでモノポリーをやったときのリプレイが収録されていた。

この「ゲーム名人戦」において、ボードゲーム側の"中の人"だったのが、あの高橋浩徳氏で、この名前はこの後も何度も出てくるのだが、当時はそんな中の人の存在含めて全く知らなかった。

そんなわけでモノポリーから入った自分だが、「似たようなゲームは他にもある」ということを知ったのはなぜか「クイズヒントでピント」だったりした。

このクイズ番組、ヒントになるものを次々出していって、共通するキーワードを挙げる、というものだったのだけど、その中でも一番難しい、というか、一番逆転の可能性がある問題、16個までヒントの出る"16分割"のとある回の問題が「ボードゲーム」だったわけだ。

その答えと解説の写真の一部に書いてあった「協力:プレイシングス」という店名を、自分はしっかり覚えていて、これがゲーム専門店との出会いになる。

ゲームサークル設立。

ある時、語学クラスの友人が「新しいサークルを作りたい」と持ちかけてきた。
今になってみればなんでそんな暇があったのか全くわからない。当初より減ってはいたものの自分はいくつもサークルかけもちしていたし、授業だって忙しかったし。ただまあ「ボードゲームのサークルとかいいんじゃない」と答えたのが今もあるゲームサークルの原型になる。

なんだかんだで5,6人のメンバーを集めて(この集め方についてはいつか話すときがあるかもしれない)、まあゲームがないとサークルにならないよね、ということで出かけたのが先述の「プレイシングス」。六本木のAXISビルの2Fだか3Fだかにあった店で、自分は"TVウォーズ"、友人は"サイクルレース"を買った。でも、どちらのゲームもそれほどまじめにはやらなかったような気がする。

その頃よく遊んだ覚えがあるのは"テラス(Terrace)"という2人対戦のアブストラクトゲームだった。なにせ人が少ないからね。

そのあと"ゴー・フォー・ザ・ゴールド"とか"ミル・ボーン"とかを東急ハンズで買って遊んだりもした。渋谷に行ったら、東急ハンズとパルコの上の方にあったポストホビーを覗いたりして。

大会出場、そして新しいゲーム。

新規サークルゆえに、いろいろと箔をつける必要がある。思いついたのは「世界大会のあるゲームで強くなること」だった。といっても、囲碁将棋チェスかるたあたりは既にサークルがあるので競合するし、その辺がやりたいのなら別にサークルを作る必要がない。

モノポリーは世界大会があって、日本大会の関東予選があるのでみんなで出た。何回か出て、あと1回きちんと勝てれば日本大会に出られる、くらいまでは行ったけど結局自分はそこまでいけなかった。あとから入った後輩がモノポリーにはまって日本大会決勝まで進むことになるのはずっとあとの話。

「夏合宿がしたい」という要望に、後輩の一人が9月になってがら空きの「軽井沢の別荘」というやつを見つけてきて、車に相乗りして出かけたりもした。"ミッドナイトパーティー"はまだ買ってなかったかな。"ピット"あたりは遊んだ記憶があるんだけど。"スコットランドヤード"は青い箱の頃だった。あとは"クーハンデル"に"はげたかのえじき"と、思い出してみればラベンズバーガーが多かったな。

はずれのゲームも多かった。今遊ぶときにはそれなりに余裕を持ってられるからそれほどでもないけど、"おぶたダイス"は振るだけかよ、とか思ったし(実際、それだけのゲームが他にもっとあった、ということでもある)、奥野かるた店の倉庫セールで買ったゲームで、やってみたらただのすごろくだったりしたものもあったりした。"悪代官"はアイデアは良かったけどやっぱりつまらなかったなあ。

新規サークルには部室もないし、学食の机を占拠するほどの体力もない。部室棟のロビーを使ったり、空き教室を借りて例会活動をしていたのだけど、そんなときに深夜TVで「こんなゲームを見た」といって部員の一人が始めたのが「言葉の数だけゲームは続く」というキャッチフレーズのゲーム。そう、"たほいや"。

広辞苑を使ったゲーム、ということで、図書館の共同卓でも遊べるこのゲームは重宝した。一時期はこればかりやっていた。
放送のほうもそこそこ人気があったらしい。どこからともなく「"たほいや"の日本選手権があるらしい」という話が聞こえてきた。もちろん参加だ。

ご存じの通り、"たほいや"の考案者は高橋浩徳氏(正確にはちょっと違うけど)。そして、ここからさらにまた数人とつながることになる。あと、この大会の副賞にエニックスあたりからの提供でカードゲームやボードゲーム(たとえば"スライムレース"とか)がいっぱい出たりして、それでゲームラインナップが増えたのもうれしかった。

"アヴェ・カエサル"と"カタンの開拓"

"たほいや"日本選手権はゲームサークル"ボードウォーク・コミュニティ"の活動の一環として行われていた。こちらボードゲームには興味があるものの知識は全くなし。「ザ・ベストゲーム」なんて本も出ていたそのころ、持っていたのはその本の知識くらいだった。

「"アヴェ・カエサル"遊んでみたいけど……」という大会中の雑談に対して、「"アヴェ・カエサル"と同じルールのゲームが、自動車レースのゲームとしてリメイクされている。名前は"アウスゲブレムスト"」ということを教えてもらったり、「今は"カタンの開拓"というゲームが面白いよ」という話を教えてもらったりした。この人はその頃靖国神社のそばにクリーニングとDPE(写真の現像とプリント)、そしてそのほかいろいろなものを売るお店を開いていて、名前が「メビウス」。つまりその人とは能勢良太さん。そのあとそのお店に行って"ウサギとハリネズミ"を買ったりした。

そのほかにも、他の人から「年末年始に泊まりがけで自宅ゲーム会をするのでおいで」と誘われて行ったところ、その一軒家がボードゲームで埋め尽くされているのに驚いたりもした。そこでは"天九牌"とか"TAKE IT EASY"とか"ラック・オー"とか"ハーベスト"とか"パーティータイム"とか遊んだりした。

世間はプレステとサターンが出たりしてTVゲーム優勢だったけど、"ポジット"買ったり"じゅうたん商人"買ったりとコレクションは少しずつ増えてた。

あ、タイトルにした割に"アヴェ・カエサル"も"カタンの開拓"も遊んでないなあ。

そして、そのほか。

ゲームサークル以外ではなぜか"中国象棋"を買って遊んだりした。"世界のゲーム事典"という本を読んだり、fj.rec.gamesに入り浸ったりして、"中将棋"をワープロを駆使して自作したけれど、文字の読み間違いで「竪行」が「堅行」になってた。"コントラクトブリッジ"に手を出そうとして入門書を買ったら、著者が自分ところのOBで「在学中にブリッジ部を作り」とか略歴があったけどブリッジ部なんてもうなかったりした。まあいろいろあったような気もしたが、そういった話はまた後ほど。