こどもとボードゲームを遊ぶときに気をつけていること。

まず、誤解のないように前置きしておくと、ここでいう「こども」というのは、自分の子供のことじゃないです。ボードゲーム会とかそういう時に遊びに来る人様の子供のこと。

あと、実はこの話は子供相手に限った話ではないのかもしれません。初心者とか、普段ボードゲームにふれていない人には共通する話かもしれませんし、文中でそういう話がちょっと出てくるかもしれないです。と、長い前置きはこのくらいにしまして。

どうも、ここ最近の自分の周りの状況を見ていると、今後あまりボードゲームをしたことがない人とボードゲームをするシチュエーションが増えそうです。ただ、この状況って自分にとっては初めてのことじゃなくて、ちょっと久々かな、という位のことでして。

今でこそボードゲーム会なんてのがこの辺境の地でも週1回くらいのペースで開けて、しかも毎回それなりの人が来る、という状態になっていますが、10年前は大変でしたからね。告知したはいいものの当日1人しか来なくて延々2人ゲームをやったりとかしましたし。

そんななか、親子連れでボードゲーム、というのは結構シチュエーションとしては「アリ」でして、親子参加された方も多く、また別の場所で子供と一緒にボランティアでゲームをする機会も多かったのです。

そんな中で出てきたノウハウとかそういうことを、これからを前にしてちょっとまとめておこうかな、というのが今回のエントリの趣旨。

まずは、ボードゲームを遊ぶ前に気をつけることを。

親、もしくは保護者は必ず同伴させる。

子供のためであり、自分のためでもあります。何らかの形でけが(といってもボードゲーム会で怪我する危険ってけっこう少ないですが)させないようにしたり、おやつ関連でアレルギー、栄養的なトラブルを発生させないためにも重要です。

指導者がいる場合は、その人に従う。

これは自分(というか本人)が主催するボードゲーム会では起こりえない話なのですけど。
なんらかの行事の一環とかで幼稚園保育園とか学校におじゃますることがあるんですよね。そうすると、保育士とか先生とか、通常指導している大人がいます。
この人のことを否定しないようにしてください。意見が食い違うようなことが発生するおそれがあるなら、あらかじめそれを打ち合わせしておいた方がいいかもしれないです。
そういう人たちはこの後もそこにいる子供を指導していくわけですからね。ちょっとだけゲストで来る人とは特に今後的な意味で立場が違います。

子供がボードゲームを遊べるようになっているか確かめる。

子供から大人まで楽しめるのがボードゲームですが、2歳からブロックスができる子供、っていうのはさすがに少数派です。
3歳くらいまでは、ゲームで遊ぶよりも、ゲームのコンポーネントを投げたり転がしたり音を出したりして遊ぶ方が楽しかったりしますし、その辺は気をつかったほうが良さそうです。
ただ、そうすると子供とボードゲームで遊べる時期って実はかなり短いのかもしれないんですよね。スポーツ系のクラブなら早ければ中学年、高学年から、遅くとも中学にあがれば学校のクラブ活動やらなんやらが休日に入ってくるわけですし。

子供の年齢は確認する。

それなりのゲームは遊べるようになっている子供でも、概念が難しいものは存在します。

  • 競り
  • 交渉
  • ブラフ

などなど、意味としてはわかってもゲーム上の位置づけが判断できなかったりするものがあります。
まず、競り。単純に「順に前の人より大きい数字を出していって、一番数字の大きい人が勝ち」という概念は理解されやすいのですが、これが複数のターンにまたがった場合が難しい。「全部勝つ必要はなく、最終的に勝利につながる分だけ勝てばいい」ということを理解するための壁があるようです。

次に、交渉。「話し合って、お互いに有利な状況に持って行く」ということはもちろん理解できるのですが、それを「ルールの中で行う」とか「ゲーム外の私怨を持ち込まない」ということを教えるのが難しい。交渉というのはある意味ルールにあえて穴を開けているようなものだからです。一見私怨に見えるかもしれないけど、トップ目をつぶすために2位以下が協力するのはゲームとしては十分にありですしね。
「ルールを守る」「私怨を持ち込まない」は交渉を含まないゲームでも共通するルールですので、そういったゲームをやりなれてから例外ルールとして教えるという段階が必要です。

そして、ブラフ。「正しいことを言わなくてもいい」というのが、最初にインストをするときにひっかかりやすい。仮に教えたとしても、どうしてもブラフをかけられない子供も多いです。こればかりはある程度歳を重ねる必要がある感じがします。
若干話がずれますが、いわゆるトランプのゲーム二大巨頭であるところのポーカーとブリッジ、前者はブラフが大きな要素になっているのに対し、後者はブラフの要素がほとんどない、というかマストフォロー系でブラフは許されない、というのは、トランプをひとくくりに1種類のゲームでくくりがちな現場では意外と高い壁になっている気はします。

それ以外にも注意すべき点はあるのですが、ルールとは関わらない部分なので後述、ということで。

ちなみに、ドイツゲームの箱の横には、対象年齢が書かれていますが、競り、交渉、ブラフの要素が入ると、同程度のコンポーネントが入った他のゲームと比べ、1〜2歳くらい下限が上がるような気がします。

下限があがる、といえば、意外な伏兵がありました。
「ワードゲーム」です。
実は、海外物のワードゲーム、特に「文字から絵を想像する」とか「絵や物体から(日本語でも)単語を当てる」みたいなゲームの対象年齢は意外と高いです。基本的な語彙がないと発想できなかったり、極端に不利になったりする。思い出してみれば、クイズゲーム含め、海外のワード系ゲームのヒット作には「ジュニア」みたいな形で低年齢版が出ていました。つまり海外の方でもそういうことになっている、ということです。
これをもし遊ぶなら、どのようにハンデをつけるか。腕の見せ所でもありますね。自分は面倒くさいので避けますが。

見せるゲームを考える。

まあこれは子供に限ったことではないのですが、ボードゲーム会やるとなると、箱をいっぱいどこかに並べて、好きなゲームを持ってきてね、ということになるのが普通です。

そうすると、何を選ぶか、というと……まあ大体ご想像の通りなのですが、

  1. 知っているアニメ・ゲームのキャラクターがついているもの
  2. 読める日本語が書いてあるもの
  3. よくは知らないけど、何か派手で明るく楽しそうな絵が描いてあるもの。
  4. なんだかたくさん楽しそうなコンポーネントが入っているもの

と、こんな順番でボードゲームを持ってきます。

最初のやつはまあそれが本当に子ども向けならいいのですが、ボードゲーム好きならもしかして版権的にグレーなブツ*1とか、いちおう子ども向けなんだけど単なるクソゲーみたいなものを持ってたりしますよね。そういうのは隠しておかないといろいろと大変なことになります。

次のヤツ。これはこれで完全日本語版のゲーム出版が最近増えてきたこともあって、出会う頻度も増えてきましたよね。選ばれやすい、ということを前提にして置いておいて、自由意志で持ってきたゲームがそれ、ということになれば本当に思惑通り、なのですが、まさか1人専用のパズルゲームとかそんなものを持ってきたりはしていないですよね、というところには注意が必要です。
あと、日本語が書いてあるからといって簡単なゲームとは限らないのはボードゲーム好きには常識ですが、そうでない人には実は常識でないことは意識しておかないといけません。その次も「絵が楽しそうだからといって楽しいゲームかどうかはわからない」という意味で同様です。

最後のコンポーネントの話。これは実は子ども向け、と思われるアクションゲームで陥りがちなワナです。
アクションゲームの名作だからといって、年季の入った古い絶版ゲームを持ってきたら、帰る頃には確実に小さい部品の1つ2つがなくなっているか、何か大事な棒か何かの部品が折れる運命にあります。
自分の子供ならまあ成長のための段階としてあきらめもつきますが、他人の子供に同じ感情をもつ自信がないなら、そういうゲームは持ち込まないことです。
カードゲームも同様。少しくらい折れてもかまわないゲームを持ち込みましょうね。大人にとってのボードゲームと、子供にとってのおもちゃの位置づけは違いますから。
だいいち、一般向けのゲーム会で絶版ゲーム持ち込んで、仮に楽しんでもらっても、その後その人たちが買えないじゃないですか、そのゲーム。

ただまあ、こうやって書いてみると、「最初に持ってきたゲームを並べておく」という動作そのものがなんとなくまずいような気もします。インスト者と一般参加者の人数比によっては、最初から遊ぶゲームを決めておいた方がいいのかもしれません。

分けるか、集めるか、それが問題だ。

一般参加者の人数比、という話とも絡みますし、実はこの辺は子供会とかの行事をやっている人の方がノウハウを持っているかもしれません。
子供が複数いて、卓がたくさん立つ場合、どういう風に子供を振り分けるか。これが意外と悩ましい。
好きなように集まらせれば、確実に友達同士で集まります。自由意志で振り分けられて、これはその場が見えてきていない主催者としても動いてくれてありがたい。
ただ、この集まりはかなり扱いに苦労します。その集まりの中だけで動くかもしれないからです。
その友達だけで人数がじゅうぶんいて、それだけで卓が作れるならそれでいいかもなのですが、一日に1つだけゲームをやればいいのであればともかく、複数ゲームをやると言うことになればけっこうな確率で人数の増減が発生します。手持ちゲームがないかも、という事態が発生するかもしれない。
また、足りないから別の子供を補充的に入れる、というのも、簡単に考えつくけど扱いが大変。この場合は元のグループを割るくらいの気持ちで動かさないといけないかもしれない。
おそらく、会の目的によってどうすればいいのかは変わるのでしょう。見本市みたいに体験してもらえばいい、ということであれば友達同士で集まってプレイしてもらって、飽きたら飽きたグループから解散、でいい。ある程度の時間一緒にいてもらうなら、くじ引きか何かで分けてしまった方がいいのかも。

この項、「しれない」「かも」ばかりで終わっていることから想像つくように、きちんとした結論が出ていません。本当に悩ましいです。



次は、ゲームを遊ぶ際に気をつけること。

このうちのいくつかは、ゲーム選びの時から気をつけておいた方があとあと楽かもしれません。

コンポーネントの扱われ方に注意する。

慣れていればカードを扇形に広げて持つなんて簡単なんですけどね。手が小さい子によってはそれが難しいことがあります。
でも、他人に見えないように、自分にきちんと見えるようにカードを持つっていうのは、マナーでありきちんと遊ぶためのテクニックでもありますから、ここは大事にしておかないといけない。

あんまりたくさんのカードを頻繁に持ち替えないといけないようなゲームは避けておいた方がいいのかもしれません。
これはカードに限らず、ほかのコンポーネントでも同様です。子供に扱えるコンポーネントかどうか、という判断は意外とシビアですよ。

コマを回すゲームで、コマが回せない。カードを混ぜるゲームで、カードがシャッフルできない。大人が難なくできることがけっこうな壁になることがあります。

そして、一番やばいのは、小さい部品かも、なのですがこれは何となく想像がつくと思いますので、ここでは詳細は省略します。

楽しく遊べるゲームかどうかを考える。

前の話とほとんど同じなのですが、前の話は成長に伴って解消するかもしれない、という点なので、こちらはちょっと別の話になります。
色を見分けるゲームとか、五感に頼る部分が多いゲームは、場合によっては扱いに注意が必要です。
子供だけでなく大人でも、色を見分けるゲームができない人がいます。
冒頭に書いた「親、保護者」というのはその点でも重要です。

養護学校などでボードゲームを広げる際は、事前に簡単にゲーム内容を説明して遊べるかどうかを確認しておいた方がいいですよね。

興味をそらさない、興味を引きつけすぎない。

同じものに対する刺激の受け方は、基本的に子供の方が強いです。強いだけに飽きっぽいともいえるかもしれない。
でも、ボードゲームは途中で抜けられると困ることが多い。適度に刺激して、関わり合って、途中で抜けることのないように遊んでもらう必要があります。

もとからボードゲームが好きな子供?もちろんいますが、それは普通にボードゲーム好きとして扱えばいい話であって、今回のこのエントリに関わる子供ではないです。

そして、それは子供に限った話ではなく。別にボードゲーム好き、というわけでない人と遊ぶ際には、その点を忘れないようにしないといけないです。

近くで見ている時点で、興味があることはある。でも、関わればつきあいで無駄な時間を過ごすかもしれないし、手ひどく負けてつまらないことになるかもしれない。第一、実際に自分がどう思っているかはともかくとして、みんな自分が馬鹿だとは思われたくない。

ある年齢以上の人には「簡単だから遊んでみませんか」というより「これを遊びたいので手伝ってもらえませんか」という方がすんなりボードゲームに入れる、ようです。だって「簡単だから」と言われて入ったゲームがわからなかったり、それで負けたりしたら、それって「おまえはこんな簡単なゲームもできない馬鹿」って言われているのと同じですよね。

でも、思いました。もしかしたら、そこまでプライドのかかった話じゃなく、単に「手伝って」と言われた方がすんなり収まる人のことを「大人」と言うのかもしれないですね。

禁止表現はできるだけ使わない、もしくは禁止表現を使い分ける。

これは2つ(いや、3つかな)の目的があります。
まず、あまり最初から最後まで「ダメ」っていうと、ダメのレベルがわからなくなるんです。
「カードを折り曲げない」「配り終わるまでカードに手を出さない」「他人の手をのぞき込まない」系のルール以前の「ダメ」と「今回は同時に出さないとダメ」とか「最後にはそのチップは使えない」系のルール上の「ダメ」と「その手は悪手だからやらないほうがいい」の戦術的な「ダメ」と、「会場の都合上そっちに行かれると危ない」系の運営上の「ダメ」は禁止のレベルが違うのですが、全部「ダメ」にしてしまうと一番危ない系の「ダメ」とそうでない系の「ダメ」が区別つかなくなってしまうんですね。よって、言葉を使い分けるか、一番危ない系は実力行使で止めるかする。
そういうことを前提にしたときに、ゲーム中での言葉の使い分けが分かる子と分からない子の存在が考えられますが、おそらくその使い分けが分からない子はそのゲームを一緒に対戦するレベルにありませんのでゲームで遊ぶと言うよりゲームを教えるか、ゲームのコンポーネントで遊ぶレベルに落とす方がいいのかもしれません。
次に、「やっちゃダメ」は言いやすいんですが、聞いた子供の方が対応できない場合が多い。やっちゃダメといわれてもほかに何をすればいいのか分からないからです。仕事で子供と関わっていろいろ話した限りでは、「○○しない」よりも何かキッカケを作って「○○しよう」とそちらに誘導する方が素直に動きます。
ゲーム会で応用するとすれば、明らかに子供向けでないゲームを子供が持ってきた時に「このゲームはダメ」というのではなく「こちらのほうがおもしろいよ」という風に誘導した方がいい。ここまでやるためにはゲームを把握しておかないと代案が出せないわけでけっこう厳しいハードルですが。
あと、教育的にも「○○しちゃダメ」よりも「○○してね」の方がいいという話を聞いたことはあるんですが、まあこちら特に教育的効果を狙っている訳でもないので目的としては弱いです。

あいさつはしっかり。

これも教育的な目的ではないです。「お願いします」「ありがとうございました」あたりを言うようにしておくと、区切りをつけやすい、という、そういう目的。
途中で抜けたりされると困ることへの対処でもあります。仕事でも「もう終わりね」と呼びかけるよりも「さよならの握手したら部屋に戻ってね」の方がスムースに動きました。何の仕事かはおいといて。

終わりまで遊ぶ。遊んだら片付ける。

いやまあ、基本ですよね。基本なんです。

ただ、あまりにも展開に差が出たら、その時点で打ち切る、というような対応も十分ありなんです。そこはさじ加減が難しい。反応を見ながらになるのではないかな、と思いますよ。

いずれにせよ、片付けはしっかりやりましょう。

おわりに。

思いつきで書きはじめたので、抜けがあったりして、何度も追記しまくったり書き直したりしてます。別に更新履歴とかつけてませんが、たまに見直してもらった方がよさそうですね。
そんなところでよろしくです。

*1:早い話が同人ゲーのうちでちょっとそういう気遣いの少ないヤツ