大学を統廃合すると色んなものが活性化するよ。

とりあえず、なんとなく言及リンク的に。

国立大学の統廃合私案 - Chikirinの日記」がいろんなところで話題になっているようです。
まああれ、国盗りゲームだから盛り上がりますよね。

そんななか、はてなブックマーク - 国立大学の統廃合私案 - Chikirinの日記にて、

tzt 大学, ネタ わかってないなぁ。逆だよ、逆。ド田舎の大学に統合しちゃえばいいんだよ。勉強に集中できるよ。

はてなブックマーク - tztのブックマーク / 2009年3月4日

が気になりました。
ついでに、「404 Blog Not Found:いっそ東大と京大だけにしちゃったら?」あたりも気になるのですね。正直タイトルだけで中身はほとんど読んでいないのですが。

そこで、昨日あった話も一緒に語りつつ、「大学教職員や教育関連官公庁勤務ではない方が考える適切な国立大学のあるべき姿を見たい - 発声練習」に乗ってみようかなと思うのですよ。

正直、「大学の統廃合私案 - 女教師ブログ」が書かれてしまった後ではネタ書くのも難しいですけどね。

まずは結論

東大、京大、阪大、名大、神大を始め、東工大から農工大千葉大から埼玉大まで、首都圏、関西圏、中京圏を主とした東海道新幹線沿線の国立大学キャンパスは全部移転・他大合併を前提に廃止しちゃいましょう。

と、これが結論ですね。

まあ、首都圏だけでもいいんですが一応。

特に首都圏。国立大学ではないですが、早稲田大学学習院大学バイオハザード施設を作るってんで大騒ぎになる騒動が過去にあったとおり、研究施設が人口密集地帯にあるというのは大変なんですよ。
また、現用のキャンパスを改築するのも大変です。慶應義塾大学はこのたび150周年ってことで大規模なキャンパス改築計画を立てていますが、これの予算が当年度の寄付金目標だけで250億円資金総額が900億円。卒業生からの寄付でまかなおうって言うのがこの学校の伝統的な考えだったな、とかいうのはまたの話にしまして、とかく都心で何かをするのには金がかかります。

そういうことを含めて、そろそろ少し外に広がったらどうでしょう、というわけです。

それにしても、首都圏関西圏に東海道新幹線沿線ってのは広すぎない?

そうですね。とばっちりで伊豆半島渥美半島志摩半島、もしかしたら紀伊半島八丈島、下手したら小笠原諸島まで含まれちゃう可能性もありますので、その辺にある国立大学関係者には泣いていただくことになりそうな気がします。でもまあこれにはこれで訳があるんですよ。

少し前、地価高騰やらなんやらで私立大学が郊外移転を考えたことがありました。まあ先述の慶応大学の日吉キャンパスにしてから、

現在、日吉キャンパスがある土地のほとんどは、昭和3年に東急(当時は東京横浜電鉄)から慶應義塾に無償で提供されたものなのです。大正末期、慶應義塾は、学生数の増加などに伴い、三田キャンパスが手狭になり、大学の一部移転の候補地を探していました。そこに東京横浜電鉄から沿線の日吉台の土地 72,000坪余を無償提供するとの申し出があり、「日吉キャンパス」が誕生することになりました。

第13回 慶應義塾大学日吉キャンパス | 慶應生の街かど案内 - 楽天ブログ

てな感じで郊外移転したものなわけですし。
ところが新しくやったところは、これがうまくいかないところが多かった。

青山キャンパスが手狭となったことから郊外移転の話があり、当時研究学園都市を造成していた厚木市の誘致により開設された。なお厚木市はモノレール建設計画を立てていたが頓挫。広大な敷地に教室をはじめグラウンドやゴルフ練習施設、宿泊研修用の施設を備えていた。駅から遠く、最寄りの愛甲石田駅からバスで15分程度かかった。山の上にあるため、雪が降るとバスが坂を上がれず立ち往生することもあった。

青山学院大学 - Wikipedia

なんでこうなるかと言えば、今さら首都圏の交通の便のいいところに広い土地なんか残っていないからですね。むしろ、東大の駒場キャンパスや千葉大学を見るまでもなく、古い国立大学の方が交通の便のいいところに土地を持っている。ここを残して移転するとなったら、どこに行っても首都圏ではここより不便になるのが当たり前です。

名前は持っていってもいいよ、ということにする。

とはいえ、東京大学がなくなるとなったらOBがだまってないでしょう。
だいたい、こういう計画、いちど作ったところで、いつの間にか「段階的計画」とかに分割されて、ちょっと適当な研究所あたりを試験的に移転させて、数年後には予算の無駄ということで廃止する、というのが世の常です。
だから、例外を作らない。

冒頭にあげたdankogaiの言うとおり、北海道に東大、九州に京大を作ってもいいのかと思います。どうせ各地方国立大学の教授も(学校によって差はありますが)旧帝大出身とかがスライドして来ている人が多いです。特に医学部。それでうまいこと多数派を懐柔できるなら移転先の方の名称変更もありでしょう。

ついでにいうと、大学一括で移転というのはたぶん大変。たぶん学部ごと移転か、研究室毎に移転するとかそういう話になるんでしょうね。地方国立大学、生き残りと独自性の確立のために棲み分けをしていますから、そう言うところで手を挙げたところに移転するといい。岩手大学とか広大なキャンパスに隣接して広いグランドとかありますので、あと1学部くらい受け入れ可能ですよたぶん。

移転とともに、学生と研究がついてくる。

実は、これが大事です。もとの話に「地方の二十歳前後を全部もっていくつもりか」という反応がありましたが、実際大学生っていうのは、引っ越しの労働力として欲しい運送会社から、ちょっとしたアルバイト要員として重宝している新聞、雑誌、テレビなどのマスメディア、その他企業、それにインターンとして優秀な才能を見つけ出したいIT関連企業までいろいろなところが欲しがっているんですよね。
さらに最近は、産学連携として企業がくっついてくることも多くなった。IT関係では専門学校のデザイン科あたりと協同することもあるみたいですけどね。

つまり、これって実質的な遷都になる可能性もあるんです。

移転しても、学生はそれほど減らない。

こう書くと、遷都なんてことが受け入れられない某都知事とかが顔真っ赤にして怒りそうですけど、実際のところ国立大学の定員なんてたかがしれている。東京大学と早稲田慶応だけで比べても、東大は他2私大の合計の1/5くらいしか学生がいません。多めに見積もっても20%弱。8割以上の学生が首都圏に残るのは確かなんです。
某府知事も府立大学の存在意義について語っていたそうですが、逆です。大阪大学の方を移転、廃止すれば、府立大学の存在意義ははっきりしますよ。なにせ、岩手県立大学なんか、卒業生の7割が県外就職ってことで、

県立大教育・学生支援室によると、1期生にあたる01年度の卒業生は、県内就職者と県外就職者がほぼ同数だった。それが07年度の今年3月末、就職先の内定を得ていた卒業生371人のうち、県内に残るのは、わずか121人(32.6%)。7割近くが卒業後、県外に出た計算だ。

 特に、プログラミングの分野で全国的に評価が高いソフトウェア情報学部では、07年度の県内就職者は20人、全体の18.3%しかいない。

http://mytown.asahi.com/iwate/news.php?k_id=03000510806040001

ってことで、逆に存在意義を疑われていたりしますからね。
これが国立大学なら県外就職されても、まあいいかってことになります。職のない地域にこそ国立大学が必要、という逆説的な話はここからも言えそうですよ。

不動産運用が出来れば、独立行政法人の安定化にもつながる。

移転した跡地は、そのまま移転した大学のもの、ということにしておきましょう。転売してマンションに再開発、というのが常套手段らしいですが、緩衝地帯としてある程度の広さの緑地、低密度の土地は必要です。それにどうせ各キャンパス、近隣住宅地の避難場所に指定されていたりしますよね。
ただ、まあ建物とかは有効活用すればいい。吉本興業の東京本社が廃校を利用したりしていますが、LAN配線だって一応完備している大学の建物ですから、使い道はいくらでもあります。これの賃貸料で安定した収入を得る、という道もありますし、公立大学が借りてもいいんですよ。

賃貸料で安定収入といえば。

昨日、私のところにもマンションの売り込みがありました。
「35年ローンで、月々8万円の支払いに月々8万円の家賃収入、完済後は家賃収入がまるまる年金として」
みたいな話らしいです。
これ、どこに穴があるかなあ、と言うと、35年たったワンルームマンションが新築と同じ値段で貸せるだろうか?ってところにあるんですよね。
それセールスマンの人に聞いたら
「リフォーム資金を積み立てておいてある程度の修繕はする」
という想定回答の他に出てきた話が
「東京は学生とか単身者が多くて需要が多すぎるので、古い1Rマンションも家賃が下がらない」
というお答えだったんですね。
さてこれがどの程度正しいのかはわかりませんが、仮にこれが前提となっているとすると、「人が多いから首都圏に大学を残す」というプラン、それに乗る人の中にはいろんな事情が合ったりするのかなあ、なんて思ったりもしました。