JASRAC文書の読み方

不動産2.0について続編を書く前から別の話を書いてます。ごめんなさい。

「おふくろさん」のご利用について、という例のJASRACから出た声明ですが。

JASRAC著作者人格権を管理してないのに、なんで改変を禁止出来るのか?」という疑問がそこかしこであるようですね。

http://d.hatena.ne.jp/mohri/20070308/1173301101
http://plaza.rakuten.co.jp/kingofartscentre/diary/200703090000/
http://d.hatena.ne.jp/gamme/20070307/1173327968
http://kazuho.exblog.jp/6578175
はてブ経由、そこからトラックバックでたどっただけで、4つほど。

でも、結論から言いますと、JASRACはバースの付いた「おふくろさん」の利用を禁止していません。
確かに「あらかじめ、改変されたバージョンが利用されることが判明した場合には、利用許諾をできません」と書いてあるところを見ると、そう読めなくもないようにみえます。
でも、これ、文章を読み間違えています。*1

読み違えているのは「許諾出来ない」と「禁止している」の違い。
元の著作者であるところの川内氏は「自分の信託している曲と違うものが自分の曲として歌われている」という話をしていると言われているようなので、JASRACは「(本当に違う曲があるかどうかは知らないが)違う曲を申請されても許諾出来ない」と言っているだけ。

言い換えると、JASRACがやっているのは、免罪符を売ることなので、「うちが売っている『おふくろさん』利用の免罪符を買っても、『(歌詞が違う)おふくろさん』利用の免罪符にはならないよ」という話を言っているだけなのです。

ここでは引用も紹介もしませんが、音痴だとか替え歌もそう。JASRACはあくまで「同じ曲」を利用しているときに「著作者から文句を言われない」免罪符を売っているだけ。使っている曲が同じなら、例え意に沿わない利用をされても著作者は文句が言えないわけです。(参考: http://diary.yuco.net/20060207.html *2 )

では、音痴で曲調が違ったり替え歌を歌ったり、バースをつけて歌った場合に文句を言うのは誰か。
例の文章には「同一性保持権の侵害その他の法的責任が生じるおそれがありますので、ご留意ください。」なんて書いてあるのでJASRACかと勘違いしがちですが、そうではなく、法的なゴタゴタになるのは、元の著作者と、なんですね。
JASRACは「留意しないで法的な問題になっても、おいらは知らないよ」といっているだけなのです。

それだけ。今の揉め事を解決するわけでも煽るわけでもない。それだけすぎるので、著作権に詳しいかたは「可もなく不可もない文章」とか「つまらない声明だな」とかそういう話をしていたようですが、自分もそう思いました。さすがに揉め事に慣れているだけあるな、と。

以下は余談。
ところで、「カラオケでの利用」というので「歌うこと」そのものが問題視されるような考えがありそうですが、カラオケの許諾ってたぶん「伴奏を提供すること」と「歌詞を文字で提供すること」にしかかかっていないはずで、それを使ってカラオケボックスやカラオケスナックなどでどう歌うかどうかには許諾はいらないんじゃないかと思うんですが、これは詳しく検討してないので間違ってたらすみません。

*1:まあ、スポーツ紙とかワイドショーも誤解を招きかねない表現で紹介してますので、しょうがないのですが。

*2:そういえば自分もここでコメントしてた