非営利なら使ってもいいという幻想と、営利なら使わせるという現実。

まあ、幻想に過ぎない、という話のそのものは真性引き篭もりさんのところできっちり書かれているのでそれを読んでもらうとして、じゃあなぜそういう幻想が生まれたのかと言うことについて。

たぶん、著作権使用料には従量課金、という印象が強いので、そのうち特に「売り上げの何パーセント」ってなかんじであがりをかすめとるイメージから来たんじゃないだろうか。

もちろん想像なんだけど、これをそのまま算数の数式にしてしまって、儲け0=売り上げ0=分け前0、ということになって「非営利ならお金払わなくてOK」=「非営利なら使いまくってOK」ということになってしまったのだろう*1

この前提で行くと、「使用許諾を求める窓口がネット上に存在しない」=「使用許諾を与えていない」と誤解するのも仕方がないのかもしれない。そもそも法人相手に営利目的でしか許諾しないのであれば、使用許諾窓口などネット上に作る必要がない。卸売りか何かで契約書を取り交わす必要があるのだから、営業窓口で一緒に使用許諾も与えてしまえばいいわけで。まあ、実際こういうのの契約は力関係で決まる部分が大きいため、どっちがどっちに金を払うのかはわからないけど*2。書籍の装丁に関してはそういう考え方もあるということで。

ついでに、「小学館小学館プロダクションを混同しないこと」という点に立ち返って小学館プロダクションのページを見に行くと、きっちり「権利ビジネスに関する窓口」があるのがわかる。ただしここには非営利という思想はほとんどない。まあNPOが宣伝のためにキャラクターを使いたいとか言ったときのことまではわからないけど、少なくとも何かの二次著作物を非営利で作るという時の窓口ではなさそうな感じは漂っている。ついでにサイトの注意事項を読めば、出版社よりもわかっていてかつ厳しい注意事項が連なっていることがわかる。

さらについでに、小学館プロダクションの扱っているキャラクタ一覧(3ページに分かれている)。これを見ると、ピポサルとか笑ウせえるすまんとか蔦谷の女の子とか、商業的には二次的によく使われているキャラクターが多いのがわかる。権利者のイメージに沿わない二次著作物に対する扱いとあわせて、著作権管理会社にキャラクタの版権管理を任せるというのはそういうことなんだな、ということだと思う。

もちろんここまできっちり守るためにはある程度の力が必要だ。力の弱いところはCCとかにしてある程度オープンにしつつ手の届くところでキャラクタビジネスをしていく必要があるだろう。この両者に立ちはだかる敷居がどれくらい高いかが、実際にCCが機能するか、あるいはただの屑作品のゴミためになってしまうかの境目になるんじゃないかと思う。

*1:著作権関連の話でいけばアメリカでは著作権法に認められている「フェアユース」の話も大きいだろう。これは日本では条文にないので明文では認められていないのだけど、それをそのまま日本に持ってくるから勘違いが発生する。

*2:大きい販売会社なら「同一の商品を販促に伴う場合に限って」無料で使うと言った契約くらいはしている可能性はある。家電量販店にメーカーが売り子を派遣するのと同じ感じで。